副業は始めたばかりのときは、あまり気にしていなかった確定申告も、収入が多くなってくると税金のことが心配になるもの。
サラリーマンであれば会社が面倒なことはやってくれますが、副業となると税金問題は自分で解決しないといけません。
とはいえ、今までに確定申告の経験がないと、わからないことばかりで不安になりますよね。
面倒だからといって放置していると、後々になって恐ろしい罰金を徴収される可能性もあります。
そこで今回は、副業の確定申告はいくらから必要なのか、申告する方法や支払う税金の計算方法などを解説していきます!
副業の確定申告に関わる所得区分
そもそも副業というのは、サラリーマンなどで給料を貰っている本業とは別に、他から収入を得ていることを意味します。
この副業というカテゴリーの中には、収入を得た方法によっていくつかの「所得区分」に分けられます。
- 給与所得:アルバイト・パートなど
- 譲渡所得:株式・金融商品の売買で得られた配当金など
- 不動産所得:所有物件からの家賃収入など
- 雑所得:FX取引・仮想通貨投資・アフィリエイトなど
- 事業所得:税務署公認かつ継続性のある雑所得など
確定申告を進める上で、今行っている副業がどの所得区分なのか知っておく必要があるので、しっかり確認しておきましょう。
ここで少しややこしいのが「雑所得」と「事業所得」ですね。
例えばアフィリエイトで収入を得ている場合、基本は雑所得になりますが本格的に継続して取り組んでいるなら、事業所得として認められることもあります。
私の場合は個人事業主として「開業届」を出していますが、開業届を出したからといって必ずしも事業所得になるわけではありません。
本業の傍らで副業をやっているなら、雑所得に区分されると考えておくのがいいかもしれません。
副業の確定申告はいくらから必要?
副業を始めてある程度収入がある方は、ここが一番気になってくるところかもしれませんね。
先に言ってしまうと、年間20万円を超える「収入」または「所得」がある場合は、確定申告が必要になります。
ですが、副業においてはこの「収入」と「所得」の違いで、かかってくる税金額が異なることに注意が必要です。
もう少しわかりやすく解説していきますね。
副業によってかかる税金の対象が異なる
まず副業の確定申告を行うときに知っておくべき3つの知識があります。
- 収入:企業から直接支払われる給与(副業なら稼いだ額)
- 経費:書籍やネット代など副業で必要となる支出
- 所得:収入から経費を差し引いた金額
※サラリーマンやその配偶者は経費の代わりに「給与所得控除」が適用される。
⇒年間給与180万円以下は40%控除
⇒年間給与65万円未満は65万円控除
例えば、副業として「アルバイト・パート」を行った場合と、「アフィリエイト・在宅ワーク」を行った場合は以下のように税金がかかってきます。
このように、「収入」に対してなのか「所得」に対してなのかで異なることに注意しないといけません。
また、すべての人に条件なく適用される「38万円の基礎控除」があります。
よく配偶者の方で103万円を超えてはいけないと聞くことがありますが、これは「給与所得控除65万円+基礎控除38万円」のことですね。
基礎控除は「本業+副業」をされているなら本業へ適用されます。
配偶者が事業所得者の場合は、年間所得が38万円以下であれば基礎控除と相殺され、確定申告を行う必要はありません。
- 給与収入でなければ「所得」に対して税金がかかる
- 本業がある方は副業で年間20万円を超えると確定申告
- 配偶者の事業所得は年間38万円以下なら非課税
経費として認められるものは?
そもそも経費というのは、副業を始めるために必要だったものや、仕事を継続するために使ったものなどを意味します。
簡単に言ってしまえば、副業に関連することを明確に説明できるものなら、基本的に経費として計上できますね。
例えば以下のようなものは経費にすることが可能です。
- 本・電子書籍
- セミナーなどの参加費
- インターネット通信費
- 家賃・水道光熱費(自宅が仕事場の場合)
- 交通費・駐車場代
- パソコンの購入費
- テーブル・椅子
- サーバー・ドメイン代
などなどが副業の経費とすることができますが、10万円以上のものは「固定資産」となるので、購入金額を一度に経費とすることはできません。
パソコンであれば耐用年数が4年と法令で定められているので、10万円で購入した場合は「25,000円×4年」で経費を計上することになりますね。
これを「減価償却」と言います。
また、自宅兼作業場として利用している場合は、「家事按分(かじあんぶん)」といって使用比率分を経費に計上できます。
ただし、副業の経費としてしっかり計上するには「領収書」「レシート」など、証明できるものを残しておく必要があります。
上手く経費計上すれば節税効果に期待できるので、ここは徹底して管理していきましょう。
確定申告で支払う税金はどう決まるの?
副業で収入が増えたことは嬉しいけど、確定申告での税金支払い額が心配になっている方も多いでしょう。
そこで支払う必要のある税金と、その計算方法もここでご紹介しておきますね。
副業の所得が20万円を超えると「所得税」がかかる
「本業+副業」で収入を得てる場合は、年間20万円を超える副業所得で「所得税」がかかる為、確定申告が必要になってきます。
ですがこの所得税は副業単体で発生するわけではなく、本業の給与所得も含めた合計額に対して計算されるもの。
ここで課税される所得税の税率は以下のようにランク分けされています。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
196万円~330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
331万円~695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
696万円~900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
901万円~1,800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1,801万円~4,000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4,001万円以上 | 45% | 479.6万円 |
確定申告で所得税の計算を行うときは、この「課税所得」「税率」「控除額」から求めることができます。
所得税の計算方法がこちら。
- 副業の利益ー経費=副業所得
- 給与所得+副業所得ー各種控除=課税所得
- 課税所得×税率ー控除額=所得税
例えばサラリーマンの給与が300万円、副業のアフィリエイトで100万円の課税所得があった場合で考えてみましょう。
「400万円×20%-42.75万円」となるので所得税は37.25万円です。
ですが、サラリーマンの税金はすでに納めているので、
「300万円×10%-9.75万円」の所得税20.25万円を差し引き、最終的に納める副業分の所得税は17万円ということになりますね。
副業の所得が1円でもある場合は「住民税」がかかる
副業所得が年間20万円以下なら確定申告の必要はありません。
ただ、お住まいの市区町村に支払う「住民税」は、1円でも所得が発生している限り必ず支払わないといけない税金です。
この住民税は「都道府県民税」と「市区町村民税」を総称するもので、以下の2種類の税金で構成されています。
- 所得割:課税所得に対して一律10%
- 均等割:所得額に関係なく約4,000円
この他に課税所得金額が「住民税」と「所得税」で一定になるよう、調整を行うための「調整控除額」がありますね。
これらを含めた住民税の計算方法はこちら。
- 所得割額+均等割額+調整控除額=住民税
確定申告不要でも住民税の申告は必要になる
住民税は所得税とは違って、1円でも副業で稼いでいるなら自分で申告を行う必要があります。
副業の年間所得が20万円を超えていて確定申告を済ませた人は、税務署が住民税の通知を行ってくれるので、別途で申告する必要はありません。
対して年間所得が20万円以下で確定申告が不要だった人は、お住まいの市区町村役所で副業分の所得に対する住民税を申告することになります。
- 本人確認書類(免許証など)
- 印鑑
- 住民税申告書(窓口もしくはネットで印刷)
- 源泉徴収票(給与所得がある人)
- 収支内訳・経費の確認できる書類(雑所得などがある人)
- 各種控除の必要書類
副業で全然稼げていなかったとしても、住民税申告は忘れずに行うようにしましょう。
副業の確定申告はいつ頃行う必要があるの?
いざ確定申告を行おうと思っても、申告時期がいつ頃なのかを知らない方もいるんじゃないかと思います。
確定申告は基本的に毎年「2月16日~3月15日」までの約1ヶ月間で行われます。
ここで提出するのは前年度の「1月1日〜12月31日」までの副業所得。
基本的にはお住まいの地域を管轄する税務署まで書類を持参しますが、郵送やネットの電子申告でも可能です。
また、確定申告の期限を過ぎてしまったからといって、書類が受理されないわけではありません。
ただし、この時期は税務署が込み合うことも予想できるので、余裕を持って申告を行うのが望ましいですね。
ちなみに住民税申告も2月16日~3月15日までに行います。
確定申告のやり方・方法
確定申告のやり方としては自分で必要書類を作成したり、国税庁のホームページから入力、会計ソフトを使って作成する方法などがあります。
このようなイメージを持たれている方は多いかもしれませんね。
確定申告または住民税申告では、専門知識が必要となる細かな記帳を行うことになるので、誰でも簡単に書類作成できるわけではありません。
そこでおすすめしたいのが、確定申告書を手軽に作成できる「クラウド型会計ソフト」です。
クラウド型会計ソフトは難しい会計の知識がなくても、感覚的に帳簿付けできたりある程度の入力を自動化すること可能。
初心者の方でも容易に必要書類が作成できるのが会計ソフトの大きな魅力ですね。
クラウド型であればインストールする必要もないので、オンライン上で手軽に管理することもできます。
自力で行うよりも作業効率が大幅にアップするので、副業に専念したい方にもおすすめです。
使いやすい会計ソフトは基本的に有料になりますが、無料お試し期間が用意されている場合もあります。
税理士さんに依頼するのが最もラクな方法ですが、数万円はかかるので「副業でそこまでする必要はない」という方は、会計ソフトを活用するのがいいでしょう。
青色申告だと2種類の特別控除を受けられる
基本的に副業を行っている人は、白色申告で書類を提出している場合がほとんどでしょう。
ですが、今後個人事業主やフリーランスを検討されているなら、「青色申告による大きなメリット」が得られます。
- 簡易(単式)簿記:10万円特別控除
- 複式簿記:65万円特別控除
このように確定申告書の簿記形式の違いで、10万円または65万円の特別控除を受けることができるんです!
白色申告でも記帳付けが必要ですが、こういった特別控除を受けることができません。
青色申告の複式簿記はかなり難易度が高そうなイメージですが、先程の会計ソフトを利用すれば初心者でも問題なく作成できます。
ただ、青色申告を行うためには税務署に以下の書類を提出する必要があります。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
①は開業届と言われる書類で、この2種類をセットで提出することで青色申告ができるようになります。
自分でイチから用意するとなると手間がかかりますが、「開業freee」というサービスなら、簡単な項目を埋めていけば5分ほどで完成します。
私もここであっさり書類を用意することができました。
サラリーマンの方でも青色申告をすることは可能ですが、「事業所得」や「不動産所得」に限られるので注意しましょう。
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確定申告に必要なもの
確定申告で必要になる書類は以下の通りです。
- 確定申告書A(給与所得者や年金受給者)
- 確定申告書B(個人事業主など)
- 源泉徴収票(給与所得者)
- 各種控除の必要書類(医療費の明細書や経費の領収書など)
- 青色申告決算書(青色申告をする人)
会計ソフトを利用すれば「申告書」や「決算書」を手軽に作成できます。
ですが、控除を受けるための書類などは各自で保管・管理する必要があるので、わかりやすいように整理しておくことが大切ですね。
もし不明点などがあれば、早めに税務署へ確認を取っておくのがいいかと思いますよ。
副業の確定申告をすると会社にばれる?ばれない?
会社員やサラリーマンの方が副業の確定申告を行う上で、最も心配になってくるのが会社に「ばれるorばれない」ということですよね。
そもそも副業をしていることがばれてしまう原因は、住民税の増額通知が会社へ直接通達されてしまうからです。
この場合は会社が支払う住民税に副業分が含まれてしまうので、勤務先の会社がその異変に気がつくというわけです。
副業が住民税によってばれてしまうことを防ぐためには、
住民税増額通知を会社ではなく、自分に直接通達されるよう「特別徴収」から「普通徴収」に変更すること。
これにより副業分のみを個別納税することが可能になります。
アフィリエイトや在宅ワークで稼いだ雑所得であれば、「普通徴収」にすることで会社にばれる可能性はかなり低くなりますね。
ただ、申請した副業分が必ず課税対象となるわけではないので、結果的に雑所得が特別徴収されてしまうケースも。
確定申告しても副業が「100%会社にばれない」とは言えないことに注意しましょう。
また、副業がアルバイト・パートの給与所得だった場合は、本業の給与所得と合算されて住民税が必然的に会社へ通知されてしまいます。
副業の所得区分によって、会社にばれてしまう可能性があることも理解しておきましょう。
副業の確定申告まとめ
最後に重要な部分をまとめておくと、
- 収入ではなく所得に税金がかかる
- 年間20万円を超える副業所得で確定申告
- 所得金額に関係なく住民税申告が必要
- 申告書作成は会計ソフトが便利
- 副業分の住民税は「普通徴収」にする
この辺を抑えておくと、本業と副業を上手く両立していくことができるかと思います。
また、税金関係の「所得税」「住民税」は理解しておくに越したことはありません。
今後起業して個人事業主やフリーランスとなったときは、青色申告にすることで大きな節税効果も得られます。
仕事で忙しいサラリーマンの方は確定申告に裂く時間がなかなか取れないので、会計ソフトを活用して効率良く申告の準備を整えていきましょう!
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