どうも、「きにぶろぐ.com」の自由に憧れるフリーマン(@free_manJJ)です。
2017年9月9日に行われた陸上の第86回日本学生対校選手権で、滋賀県出身の21歳である桐生祥秀選手(東洋大4年)が、男子100メートル決勝で日本人初の9秒台となる「9秒98」の日本新記録を達成しました。
桐生選手は4年前に男子100メートルで「10秒01」をマークし、リオデジャネイロ五輪男子400メートルリレーで銀メダル、今年の世界選手権(ロンドン)でも400メートルリレーで銅メダルを獲得している日本を代表する選手です。
ついに日本人選手からも夢の9秒台がでる日が訪れたことを、同じ日本人として非常に誇りに思います。桐生選手本当におめでとうございます!
この「9秒98」という大記録を出した競技場が「福井県営陸上競技場」で、実はこの競技場には大記録を後押しした秘密が隠されていました。
福井県営陸上競技場の隠された秘密
桐生選手の「9秒98」を記録した福井県営陸上競技場には、他にはない最適な条件が整っていた競技場だったということです。
その条件とは以下の3つになります。
- 反発力のあるトラック
- 9月は追い風が吹く
- トラックとスタンドの距離が近い
ここで9秒台を出してくれと言わんばかりの好条件が重なったことも、今回の大記録を後押ししたと考えられます。
反発力のあるトラック
摩耗、劣化していた競技場のトラックを改装工事したばかりで、全面ポリウレタンに張り替えられて反発力が以前より良くなったことです。
このタイミングで改装を行ったということは、まさか桐生選手の為に!?と思いましたがそうではなく、来年に開催される予定の福井国体に向けたものでした。
メダリスト選手であっても仮に桐生選手はまだ大学生ですし、さすがに一個人選手の為に競技場を改装するなんてことはないですね。
9月は追い風が吹く
風向きは常に変わるものですが、福井県営陸上競技場の場合はメインスタンドがあまり大きくなく、スタジアム全体も低い芝生で囲まれている為、周辺に遮蔽物がなく風通しが良い特徴があります。
特に9月は追い風が吹きやすく、直前の女子100メートルでは追い風が「2.3メートル」ある状況となっていました。
ですが、陸上競技のルール上「2メートル以上」を超えてしまうと、正式記録とはならずに参考記録扱いになってしまう為、こればっかりは運に任せるしかありません。
男子100メートル決勝時には、なんと「1.8メートル」という奇跡的な好条件となったので、桐生選手は「強運」も持っている選手としか言いようがありませんね。
トラックとスタンドの距離が近い
競技場が決して大きくない昔ながらのスタジアムであった為、選手が走る競技トラックと観戦するメインスタンドとの距離が非常に近い環境になっています。
当日はメインスタンドが満員で立ち見の人達もいる状況だったこともあり、歓声が直に聞こえてくる熱気あふれる雰囲気で、桐生選手も「すごく力になった。」と話していたことから、9秒台を目指す原動力になったことは間違いないでしょう。
期待されることは選手にとってかなりのプレッシャーにもなりますが、やはり応援や声援による力は改めて凄いことなんだと感じました。
実はもう一つ理由があった
大学日本一を決める今大会で桐生選手は左脚に不安を抱えながら出場しており、コンディションが万全の状態ではありませんでした。
その為、男子100メートル決勝は欠場も考えていたそうですが、それを思い留まらせたのは東洋大選手のユニフォームを着て出られる最後の大会だったということです。
大学生最後として、100メートルで新記録を出したいという桐生選手の強い気持ちが、「9秒98」の日本人初となる大記録を生み出したのかもしれません。
4年ぶりの自己ベストということもあるので、世界へ向けての自信にも繋がったのではないでしょうか。
男子100mの日本歴代記録ランキング
今回新たに日本新記録となった桐生選手のタイムを加えて、現在の日本男子100メートルの歴代記録トップ10のランキングを確認してみましょう。
日本男子100m歴代記録トップ10 | ||
順位 | 記録 | 選手名 |
1 | 9秒98 | 桐生祥秀 |
2 | 10秒00 | 伊東浩司 |
3 | 10秒02 | 朝原宣治 |
4 | 10秒03 | 末続慎吾 |
4 | 10秒03 | 山県亮太 |
6 | 10秒05 | サニブラウン・ハキーム |
7 | 10秒07 | 江里口匡史 |
7 | 10秒07 | 多田修平 |
9 | 10秒08 | 飯塚翔太 |
9 | 10秒08 | ケンブリッジ飛鳥 |
因みに世界ランキングはというと、1位がウサイン・ボルト選手が持つ「9秒58」、2位がタイソン・ゲイ選手とヨハン・ブレーク選手の同着で「9秒69」になります。
世界の上位10位以内はジャマイカとアメリカの選手がほぼ独占状態で、他の国を寄せ付けない強敵っぷりを発揮しています。
10位の選手のタイムで「9秒84」なので、桐生選手のタイムでもまだ世界のトップ10に入ることはできませんが、明らかに一歩前進したことには間違いありません。
まとめ
今回の陸上競技に限らず全ての競技において、競技場の場所や選手のコンディションはタイムや記録、試合結果に大きく影響する重要なことです。
人は誰しも本番で100%の力を発揮することは難しいので、できる限り100%に近づける為に様々な努力をしています。
世界の壁はまだ厚いですが、オリンピックでもメダルが取れる身体能力は十分あるので、桐生選手の9秒台を起爆剤として、他の日本人選手もどんどんタイムを伸ばして9秒台を狙ってほしいと思います。